鈴木アトリエ
トップにもどる

・・・・・Suzuki Atelier・・・・・

麦

つれづれ日記

2014/4月

  <<「つれづれ日記」目次に戻る <<



uri
私達が考える
家づくり

works

about us
アトリエ地図
アトリエ案内

02日 道志村キャンプ、今年一番乗り!・・ / 07日 断熱材、そして高気密高断熱のこと・・
16日 土間空間・・ / 23日 無垢板外壁の5年後・・ / 30日 階段あれこれ・・ 

・・ 道志村キャンプ、今年一番乗り! ・・ 4月2日(水)
極寒キャンプ
 4月に入りすっかり桜満開、春爛漫になりました。ついこの間まであんなに寒かったのに・・実は春を待てずに3月後半に1泊でキャンプへ行ってみました。

 しかし、うわーまだ雪景色!!
キャンプ場の管理人さんの話によると今年の寒さは異常だったそうで積雪は3m近くあり、 除雪車が来なかっため、完全に孤立したとのこと。一番辛かったのは、暖房の燃料が切れそうになった時だそうです。犬小屋すらも雪に完全に埋もれてしまい、犬の救助が大変だったとか。

 そんな状況で、今シーズンはまだキャンプ場でテント張る輩はなし、今年1番乗りでした。
 気温は、マイナス4度と極寒の中での野宿。
私たちが凍えていないか、何度も管理人さんが心配して珈琲を持って見に来てくれました。(笑)
極寒キャンプ
麦も一緒です


↑ このページのトップに戻る


・・ 断熱材、そして高気密高断熱のこと・・ 4月7日(月)
 「住まいは夏を旨とすべし」といった吉田兼好の言葉が好んで用いられ、日本の住宅づくりは随分と冬を我慢してきました。そんな中で室蘭工業大学の鎌田教授はその昔から「住まいは冬を旨とすべし」と言い続けてきた方です。

 木造住宅の外壁通気工法を考えたのも鎌田先生。この工法を私が最初に知ったのは1985年くらい、建築知識の特集本でした。元々は北国で開発された工法でしたが、実は関東以南でも必要だとの記事が書いてあったのです。

「なぜ?」

その当時、私は暖かい関東以南では北方型住宅の作り方は過剰で必要ないと考えていました。でも必要だと書いてある。その理由として「結露は住宅の外壁内で常に起きているのだ!」という衝撃的な話だったのです。

考えてみればそうかも・・・・

住宅の室内と室外の温度差は常にある。夏は室内がクーラーでキンキンに冷やすと20℃くらい、外気は35℃を超える。冬は室内が20℃くらいある時に外部は3℃くらい。つまり常に17℃程度の温度差が必ずどこかで発生している可能性があるのです。この場所に水分があれば即「結露」が起こるのですから、考えると恐ろしい。この結露問題を考えると通気工法しかない!というのが教授の考えでした。

 あれから30年。京都議定書やら省エネ基準やらと時代は随分と変わり、通気工法は当たり前、断熱材も随分と厚くなり、通気止めもきちんと施工する現場が増えてきました。しかし!最近、国が発表した次世代省エネ基準住宅の内容をみて、
鎌田教授は再び怒っておりました。
「国の言う通りにやったら、省エネ住宅ではなく、増エネ住宅になってしまうよ」

え?なぜ?!

そんな基準を国がつくるなんて、そんな馬鹿なことあるかい!?
いえいえ、確かにありました。

 夏の冷房負荷と冬の暖房負荷のどちらを重点的に考えるか?について、国は冷房負荷を優先し、暖房負荷を甘く見ているのです。詳しくはちょっとまとめてからまた書きますが、わかりやすく書けば、冷房は年2ヶ月半使用、暖房は年5ヶ月位使用だとすると暖房負荷を低減した方が効率的なのは一目瞭然ということなのです。

 (づづく〜)


↑ このページのトップに戻る


・・ 土間空間・・ 4月16日(水)
葉山Y邸の断面
 土間に憧れる・・そんな話を最近はよく耳にします。
設計打ち合わせの時、お施主さんからの会話や要望にも「土間」という言葉が普通に出てくるようになりました。
こちらから土間を提案し始めた10年前は、そのほとんどがお施主さんによって否定されていたのに、今では土間は人々の憧れの空間に変貌しました。

多分、古い家に住んでいたり、田舎の民家で寒かったり、そうした記憶のある方には土間のイメージは悪かったのでしょう。しかし時代が変わり世代が変わり、土間に古臭いイメージを持たない人が多くなった今、この土間が都会にやってくると一躍人気者に。庭のスペースをなかなか取れない都市住宅ならではの独特の室内化された外部空間への無い物ねだりなのか? それとも自転車やバイク、園芸、ペット、釣りなどの趣味やライフスタイルへの強い憧れが土間空間のイメージを膨らませて、人を妄想させるのでしょうか・・・

そんな昨今の流れに乗って、今までうちで設計してきた土間空間を紹介してみようかと思います(笑)大きく分類すると、特性の違う3種類の土間があります。

 1. 趣味空間としての土間 = 例えば車やバイク置場を室内化したもの
 2. 広い玄関としての土間 = 玄関スペースを大きくして多目的にしたもの
 3. 室内に組み込んだ土間 = ダイニングやリビングを土足使用にしたもの

どのタイプの土間も生活の一部が外部化されて半屋外にすることで、その家ならではの特性をもたせられ、毎日の暮らしを気分アップできます。
日野の家
「日野の家」は1のタイプ
趣味の車やバイクを道具の手入れができる室内化した車庫。
中庭を介したリビングからも愛車を眺められるようになっている。
宮原の家
「宮原の家」は1と2の併せタイプ
広い玄関土間で趣味のスポーツ道具の手入れやトレーニングに活用。
壁面一面すべてが収納で、トイレもその一部に組込まれている。
8×8×8の家
「8×8×8の家」は2のタイプ
広い玄関土間の一画に書斎スペース。
篠原水道道の家
「篠原水道道の家」は2の応用タイプ。
庭と土間を一体化させる通り土間として貫通する仕掛けの土間
葉山のY邸
「葉山Y邸」は3のタイプ。
前庭と薪ストーブのあるダイニングがつながっている土間
葉山のY邸
東橋本K邸
「東橋本K邸」は1のタイプ。
多趣味のお施主さんはいろいろなことに土間を活用して楽しまれています。
ガレージには読書コーナーと冷蔵庫、天井にはキャンプタープを干す金物
屋外土間にはBBQが楽しめるコンロ専用RC棚も造り付けました。
東橋本K邸


↑ このページのトップに戻る


・・ 無垢板外壁の5年後・・ 4月23日(水)
葉山Y邸の外壁変化葉山Y邸の外壁変化
竣工当時       5年後
 「葉山Y邸」の外壁は杉(レッドシダー)の無垢板をそのまま素地で仕上げています。2009年末に完成して、今年で5年目。どのくらい枯れた感じになっているかというと、こんな感じです。ビフォーアフターばりに並べてみました。

庇などが出ている部分はもとの木色が残っていますが、雨に当たる部分はごらんのようにグレーに変わっています。紫外線と雨でこのように枯れ色になるのです。もちろん外壁下地を防火構造できちんと作ってからの板張りですから、たとえ板が剥がれてしまっても大丈夫なのですが、初めて見る方はとても心配されます。

色の変化や朽ちていく感じが嫌な方には最初からステインによる保護塗装をお勧めしますが、それでも5年おきに塗装するのが理想。雨と紫外線は建築にとって酷な条件なのです。それでも人気が耐えない板張りの外壁。 理由はやはりその素材の持つテクスチャー力でしょうか。

室内も室外も人工的でない素材の持つ力は、やはり人の感性に訴えかけるのです。 その維持に代償を払っても、大切にする。そういった姿勢に私は感動します。


↑ このページのトップに戻る


・・ 階段あれこれ・・ 4月30日(水)
白楽T邸
 階段は設計者にとって一番難しいもののひとつ。
既製品の階段ユニットをパチパチはめる工事ならば簡単ですが、それは格好も悪いし嫌なのです。 でも予算が豊富にあるわけではない。だからいつも悩んで悩んで、色々トライしております。
 階段が難しいのはストレートの形ではなく折り返すタイプ。特にスキップ系の階段には細心の注意が必要です。

今回は、いままで作ってきた階段のいろいろをご紹介しようと思います。

[ 鉄+木の階段 ]
足が触れる踏板は木、その踏板を支えるササラは金属。蹴込み板がないので階段下に光が落ちるのが利点。スケスケ階段などと呼ばれたりします。

上写真と下写真は「白楽T邸」の階段。下る時と上る時で印象が異なることがわかります。

白楽T邸
「羽沢H邸」こちらの階段も「鉄+木」
これはササラが片方しか見えないので、よりスケスケ感が増し、軽やかな印象になります。
羽沢H邸
「葉山Y邸」こちらも同様、片側のみの鉄ササラ+木踏板
ちょっと違うのは踏板をササラ内に収めず、延ばしていること。
よりいっそう軽やかな印象になります。
葉山Y邸
「宮原の家」は有孔鉄板を曲げた階段
軽くスッキリした印象になります。有孔の部分が滑り止めの役割も兼ね、下階は穴からの幻想的な光で、光天井のように見えます。
宮原の家
宮原の家
「鴨居の家」の場合も階段から光を採り入れています。
上階のトップライトから射し込んだ光が廊下を照らします。こちらの階段は透明な蹴込み板をつけています。
鴨居の家鴨居の家
「N歯科医院」の最上階への階段にはササラはありません。
組んだ鉄パイプ全体が階段を支えています。
ササラがない分、横からはかなり軽やかに見えます。
N歯科医院
「大岡山M邸」は[鉄+木の階段+鉄手摺]
連続した細い鉄パイプ手摺は安全性と透明性の両方を兼ね備えています。ササラと手摺は同材の塗装で仕上げています。
大岡山 M邸 
大岡山 M邸 
8×8×8の家」の階段は鉄筋コンクリート製で片持ち。つまり片壁のみで支えたられています。
8×8×8の家
8×8×8の家8×8×8の家
「成瀬S邸」最小限のスペースの階段
階段の奥行きを活かして本棚も兼ねています。
成瀬S邸
浅草K邸 「浅草K邸」

こちらも最小限のスペースの階段

「茅ヶ崎の家」の階段は一見、何の変哲もなさそうですが、実はスペシャル階段。
階段下を収納庫にしていますが見た目にはシンプルな壁に見えるようにしています。
階段の高さに応じて、部屋の雑収納部分と猫のための収納庫に割り当てています。雑収納の戸裏はコルクボード掲示板。

猫もの収納庫は内部に換気扇を設け、猫トイレの場所に。もちろん猫が自由に出入りできるように猫ドアが戸についています。トイレの上には棚を設け、ネコフード等のストックスペースになっています。
この家は他にも猫と飼い主に優しい工夫を作り、雑誌に取り上げられました。

茅ヶ崎の家
茅ヶ崎の家 茅ヶ崎の家 茅ヶ崎の家
「浦賀の家」の階段も同様、階段下を収納庫にし、見た目にはシンプルな壁に見えるようにしています。また階段壁にササラを見せない作りにしています。
浦賀の家
「北千住S邸」は折り返し階段
折り返した下スペースには洗面台を設置。
北千住 S邸
大岡H邸 大岡H邸
大岡H邸 「大岡H邸」は書庫階段。
廊下から続く本棚に囲まれた空間は
階段だけど読書スペース。
全ての蔵書が見渡せます。
「日吉A邸」には廊下がありません
壷を中心に各スペースが階段でつながっています
日吉A邸
日吉A邸
日吉A邸
「虹ヶ丘の家」は階段を中心にしたプラン
虹ヶ丘の家
虹ヶ丘の家
最後は「2世帯cube」の犬階段
新吉田
まだまだあるのですが、かなりのボリュームなので一先ずここまで。


↑ このページのトップに戻る




<<「つれづれ日記」目次に戻る<<