鈴木アトリエ
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・・・・・Suzuki Atelier・・・・・



2001/03月

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1日 建築は商品? / 3日 披露宴の準備は、住宅づくりの進め方に似ている/ 7日 グループホームもうすぐ完成/ 8日 総国産材、総乾燥材を使用した真壁の家 / 11日 岐阜にテーブル材の買い出しに行ってきました / 12日 宮原の家ももうすぐ完成
・・ 建築は商品?・・ 03月1日(木)
某大手ゼネコンでマンションを設計していた輩と飲んでいて気づいたこと。
その輩が言うにはマンションを売りに出すときの説明パンフの作成は、マンションの設計以上にものすごいエネルギーが必要なのだだそうです。
というのは、こんな話があったそうです。

パンフレットにかかれる平面図のコンセントの位置が実際に出来るものと少しでもずれて書かれていたりすると、 「パンフではこのコンセント位置だったのに、10センチずれてる!そのつもりで家具を買ったらコンセントが当たったじゃないの!どうしてくれるの!」という苦情がほんとうにあるんだそうです。
あほらしー!とも思いましたが、はたと考えてみるとそうでもない。 もし自分が車を買うとき、パンフレットで見た位置や機能が買ってみたら付いてなかったり違っていたら、やはり文句を言うだろうなと思うのです。工業製品については確かにPL法も含めて、内容の保証をしている。そう考えてみると、マンションのパンフも同じ機能かもしれません。とうことは、マンションは結局「商品」なんですね。

今まで、建築は請負という単一品生産のものであったため、こうした感覚になじみがなかったけれども、近年の消費者保護の傾向は、建築や住宅にもその考え方が浸透し、商品としての完全性を求めるようになってきています。 そうすると、製品ムラやばらつきを排除しようと、左官など職人の腕に左右されるものは、極力使わないで、カタログからパーツを選ぶような作り方がどんどん増える。ああこの仕組みは簡単な原理だけれど、非常に嘆かわしい。

やはり我が事務所で設計した住宅も、工務店とその職人の違いで水分施工レベルに幅がある。 概して金額レベルにもよるけれど、それ以外の腕も相当に影響する。 大工は優秀だけれど、板金はすごく下手。 左官はうまい職人を連れてきたけど、タイル屋はだめ。 などなど、なかなか総合レベルが粒そろいの工務店は少ないですね。 これをコントロールしてコストバランスとレベルを維持するのも、私たちの設計事務所の仕事になってしまっていますが。

いい工務店の条件を一つだけあげるとすれば、いい監督(人間性も含めて)がいるかどうかにつきます。 少なくとも会社名でもブランドでもなく、人間なんです、生身の。したがって、工業製品と違い、生身の人間が作るのですから、それはムラもあるのが普通なのではないでしょうか。 完璧を目指してもミスのひとつや二つはでるもの。 これを良しとするか、全く受けつけないかを判断するのも生身の人間。 すばらしい建築って、生身の人間が見えてくるんです。作った人のエネルギーのかけ方や、情熱が。と考えるとやはり建築は工業製品ではないのだと思うのですが・・・。 完璧な製品が欲しいならばやはりプレファブでしょうね。 今年も寒かったけれど、現場で精度をだすのってほんと難しいんですよねえ。

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・・ 披露宴の準備は、住宅づくりの進め方に似ている・・ 03月3日(土)
元旦に日記を書いてから、すでに3月。
大分、サボっているのは、自分の結婚披露宴をするために忙しかったのでした。

自分はまったく無縁だと思っていた披露宴を自ら準備しながら気づいたのですが、 なんだか家づくりに似ているなあと思いました。

というのは、すでに既婚の方々はご存じのように、最初は某ホテルなどのプラン表を見ると「結構安いじゃん!」と思うのだけれど、そのプラン表にかかれている項目は、その時は内容もわからず、進めていくうちに、新婦のドレスを選んでボン!お色直しでボン!料理の内容でボンボン!装花もやっぱりないとなあでボン!、引き出物も見栄張ってボン!、司会は、音楽は、キャンドルサービスやると・・・宿泊者の費用は?お車代は?・・・とまあ、何からなにまで積み上げていくと、あっという間に金額が倍くらいになる。 プラン表には最低の物しか入ってないから、松竹梅で並べられることに弱い日本人は、やっぱ中の上くらいを選ぶように出来てる。 他人の結婚式では気にもとめてなかったウエルカムボード?なんて、それだけで市価の倍以上はするし、装花は3時間くらいの使用で市価の5倍はする。

結局、こういうことには慣れてるつもりが、全くの誤算で、素人のものもになってました。 ブライダル産業恐るべし。
で気づいたんですが、ブライダル産業のやり方って、ハウジングメーカーの営業とまったく同じではないですか。

最初に新聞広告で「坪27万円より」なんて見て、モデルルーム行くと「へえ、これがこんな値段からできるなんて、十分じゃない・・・」となり、打ち合わせにはいるると、 「ここは地盤が悪いですから・・ボン!
キッチンはやはりこのくらいのグレードでないと・・・ボン!
全自動でボン、窓は出窓はオプションなんですう〜。壁紙は、これ以外ですとオプションで・・・、一生に何度もないのですから・・・・・・・」と坪27万の基礎も入っていない金額から、いつの間にか坪70万に。 私ども設計事務所はそういったやり方に慣れてないものですから、いろんなかかる費用を全部まとめた表をいきなり見せて、大体の経験から金額を入れていると、ご丁寧に消費税や印紙代、照明器具やエアコン、水道負担金まで拾うものだから、全体費用を坪数で割ると最初から坪60万だの80万だのって金額を見せてしまう。 でもって、クライアントに「設計事務所は高いですねえ・・・メーカーならほら、坪36万ですべてだって、今日の広告に入ってましたよ!!!」とくる。 参ります。 だったら、そっちを全部見積もってから実態を知って来てもらえばいいのですが。 坪36万でなんて、絶対無理なんだから。

ともあれ、披露宴がどんな式になるか、当日までは相当不安なのですから、同じように私たちの設計する仕事も「どんな家になるか」が不安なのは当然で、お施主さんの気持ちが少しわかったような気がします。
逆の立場を経験したようで、やって良かった(経験しておくもんだなあ)と思った次第です。

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・・ グループホームもうすぐ完成・・ 03月7日(水)
グループホームがもうすぐ完成します。
昨年から一番苦労している現場。
工期が圧倒的に少ないのと、施主要望による変更箇所がものすごく多いことで、はちゃめちゃなスケジュール。

完成の1週間前に「計画変更確認申請」を出す始末。
おまけに考え方の相違から、仕上げも変わってしまい、なんだか複雑な心境。

ともあれ、このような 広々としたグループホームは、なかなかないですよ。

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・・ 総国産材、総乾燥材を使用した真壁の家・・ 03月8日(木)
この住宅は2月後半に上棟をして現在進行中のものです。
クライアントの要望は、

 ・ デザインしすぎないこと
 ・ 木の住まいであること
 ・ 総国産材を使用すること

の3点でした。
プランは中心に階段室をもつサーキュレーションを確保、階段室を校倉造りとして、壁剛性を確保しました。天井野地板は38mmの杉材をそのままあらわし、柱等すべて4寸角以上の総檜。随分とがんばってしまいました。
木材の使用量が通常の一般的な住宅の2倍はあります。それが全部国産。
つまり最近出回っている中国製もカナダ製もアジアもロシアも排除して、仕上げの床材まで出所のはっきりした材料で固めています。

パパイヤ鈴木にそっくりな大工さんも、心なしか張り切って進めてくれているので、とても気持ちのいい現場です。
私自身、和風真壁の住宅に取り組むには少し若すぎると考えているのですが、先輩方から伝授されたスキルはほとんどこの類です。
たまにはこうした住宅の設計監理もいいものですね。
現場をみると感じるのですが、上棟が殆ど出来上がりを表しているので、すごく楽というか、安心感があります。化粧材で固められているので、ごまかしが利かない分、丁寧な作業にもなりますし。
5月には完成、オープンハウスをする予定です。

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・・ 岐阜にテーブル材の買い出しに行ってきました・・ 03月11日(日)
9日の金曜日から、もうすぐ完成する住宅のためのテーブル材を買い出しに、 岐阜の下呂温泉近くの製材所にいってました。

この製材所には、HPの作品集にも載せている助産院をはじめ、今まで設計した建物でお世話になっており、いつも、程度の良い檜材を手に入れる時には、一軒分まるごとお願いしています。
岐阜から東京までの運賃を差し引いても、中間マージンが掛からないので、ずいぶん安く良質なものが手に入ります。木曾といえば東濃檜ですが、その他地松なども豊富にあり、広い倉庫を探し回り、金額交渉をしてきました。

今回は、学芸大の住宅のために、檜の1枚板を探していましたが・・・ありました、すごい物が。樹齢300年以上の木からとった無垢の一枚もの。2m×1mで厚さは6センチ。節が全くない上物。こんなすごい物は、なかなか出てこないものですが、東京あたりのおしゃれなショップであれば、付加価値がつき、 50〜60万はゆうにするものです。
これを??で購入。カンナがけにも緊張する一品です。

右写真の天板ももうすぐ竣工する、宮原の家に使う、ダイニングテーブル用です。
予算の関係で、10万以下に抑えたかったので、マホガニーの無垢、30mmの厚さで2m*1mです。
すでに7年くらいは乾燥させており、そりも少なく、とても堅い木なので、そのままサンダーがけで使用します。素朴な感じと荒々しさが好みです。
また、座卓に使用するのは、アフリカンブビンガとしました。価格がこなれているのが理由で、本来は6m物なのですが、1.1m角に刻んでの使用です。

その他、これから設計する住宅のために、国産タモの3mものも買っちゃいました。
板

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・・ 宮原の家ももうすぐ完成・・ 03月12日(月)
宮原の家ももうすぐ完成です。
4月の後半にオープンハウスを予定している住宅です。模型の状態でHPにアップしてからすでに半年以上が経ちまして時間が掛かっておりますが、ようやく全体が完成しつつあります。
この右写真は、リビングから北側を見上げたところです。3階の子供室にはこれから木製の縦格子が取り付けられます。階段は鉄板を折り曲げてつくりました。
2階居間
これは中庭の状態、雨よけのテントがぼんやりした光を作り出して、なんだかいい雰囲気です。
中庭
寝室から中庭を見たところ。少し落ち着いた感じにするために、床を2段下げて、潜った感じにしたのと、リビングからベットが見えないようにするためです。

中庭
1階のトレーニングルームです。
広い玄関と言うべきか?
土間と言うべきか?
とまあ、これから塗装と仕上げにかかります。
トレーニングルーム

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