当初、通常通りに地表面に2階建ての木造を建てることで進めていた「市ケ尾H邸」計画。容積制限が80平米、北側の高度斜線に阻まれて、なかなか思うような案ができない状態が続いていました。
敷地は結構な勾配のある道路に面していて、一番高い段差で1.7m、低いところで1mあります。しかし一番段差のない場所に電柱の支線が斜めに掛かっているため、敷地への入口は、自ずと1.7m落差のある辺りになります。そこを玄関にした地下を持つ3層の建物で計画は進みました。
でもなんだかしっくり来ない。地下の土間空間とリビングが完全に階で分断していることが残念でなりません。狭い家を快適な住環境にするには、空間が少しでもつながることが秘訣。視線だけでも遠くへつながると広がりを感じられるのです。細かく空間が分断したプランは、動線は優れていてもちっとも面白くない。 この「面白くない」ということは、いくらプラン計画が成立していても駄目なのです。
そこで、悩んだ末にできた案は、地下の土間空間からダイニングへつながる緩いスキップフロア。模型で感じを確かめることにしました。
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