昨年の5月から設計を開始し、今年の1月から着工。ようやく先月末に完成し引き渡しが完了した「K大学の施設」
約1000m2のこの建物は使用用途が半分しか実は決まっていないという中途半端な建築なのですが、そんなことよりなにより、大学の施設で恒久的な木造建築というのは初めての試みでした。
一般的に大学施設ではRC造や鉄骨造の耐火建築物が採用されるので、「木造なんかでよいのか?」「そんなにチャチで耐久性は?」などの声もあったようで大学側は心配事も多かったようです。しかし、それもあってあえて今回の建築で実験的な木造が取り組まれたのです。
木造といえば、大手の設計事務所やゼネコンでは経験がなかなかない建物、逆に私のように木造の住宅を数多く手掛けて、細かな設計をしてきた事務所にとってはこの規模の木造は得意中の得意。細かな造作も仕上げレベルも今まで住宅で鍛錬してきたノウハウをすべてつぎ込めました。
外観も安っぽく見せないためのノウハウを詰め込んでいます。 通常サッシュを外壁にそのまま付けてしまうとペラペラな印象になるのですが、影を付ける庇や窓枠の深さに気を使ってみたので、どうですか?言われないと木造には見えないでしょ? 内部は内装制限が掛かっておりますので、木質の仕上げはできませんでしたが、中廊下の暗さを払拭しようと、スリットや欄間を設けてみました。 まずは、引き渡しを終えて一安心です。 |