9月に入って立て続けに2つの住宅セミナーに参加しました。
1つは建築設計に携わる者は必ず1度は手にする設計専門誌「建築知識」が新たに開校した「建築知識学校」
ここでは第一線で活躍している建築家が設計実践テクニックを伝授してくれる講義が行われていく予定で、会場は自由学園明日館。
帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライト作の建物です。
この日の講師は建築家の増田奏さん。この増田クラスで信弘氏も講師として教壇に立ちます。私は住宅設計の大先輩である増田さんのお話を是非聞きたいと、講義下見の信弘氏にくっ付いて行かせてもらった次第で。受講者とディスカッションも交えながらの2時間半は終始、住宅においての「心地の良さ」を実現するためにはどうするべきかに繋がる熱いものでした。
そしてもう1つは某メーカーが主催した「愛犬家住宅」セミナー。飼っている犬を番犬と言った頃はもう昔、今はペットを家族として扱っている人がほとんど。その気持ちは私も高齢の猫を飼っているのでよく判ります。家づくりの相談でもペットの居心地も考慮したいと要望される方が多く、鈴木アトリエでも独自のノウハウを確立していますが、最新情報が聞けるかもと足を運びました。
このセミナーはどちらかというと工務店やハウスメーカー対象。如何に愛犬共生住宅を要望するお客の心を満足させ、1棟でも多くの住宅を売る為の営業ツールにするかが一貫したテーマでした。肝心な犬との共生ノウハウはメーカー商品を組み合わせることでの対応説明。これにはがっかり。どちらかというと営業話で愛犬家の心を掴む話が中心で、独自の技術的ノウハウはありませんでした。講義の中で「愛犬家は富裕層が多いから〜」との話を聞いて、なるほど「犬」に限定した訳が解り、また唖然。収集した情報も少しはあり、参加は無駄ではありませんでしたけど。複雑な思い・・・
2つの住宅セミナー、「気持ちよく住まうこと」を一心に追求している建築家に対し、一方では住宅を商品と考え、いかに売上げを伸ばすかを追求するものでした。あまりにも取り組む姿勢が違う。
最近は建築家が設計した建物のデザインだけや一部プランだけを真似ている量産住宅も沢山あります。
ハウスメーカー、工務店、設計事務所(建築家)の違いがわからないという質問もよく受けます。
派手な広告や社会的認知度の高さだけで家づくりのパートナーを選ばすに、この大きな違いに気づいて大切なお金で「住宅」を買うのではなく「世界で唯一の自分の家」を建てて欲しいと切に思います。
ふたつのセミナーで結果的にこんな社会の仕組みを目の当たりにするとは思ってもいませんでしたけど・・・ |
自由学園明日館
東京池袋にある重要文化財周囲に対してとても開放的
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