・・ 「8×8×8の家」その後 ・・ |
2月24日(土) |
打ち放しコンクリートで全体を覆っているこの家。
もちろん室内も打ち放しですので、断熱などはありません。 (屋根は断熱してますが。)
よく、事務所に来た皆さんから「この家は寒くないですか??」と 聞かれますので、その辺を今日はご紹介します。
元々この家、当初は外断熱を検討していました。
「春日の家」で採用したドライビット工法による40mm断熱材を外部に貼って左官仕上にするつもりでした。
しかし、規模も大きく打合わせしているうちに3階建てになり、丈夫さを求めてRCになった辺りから、予算の問題もあり、約400万掛かる外断熱はカット。最終的に「後でも工事できる!」ということで辞めてしまえ!となった次第です。
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その代わりに床暖房は全面入っております。この工事費は180万円位ですので、仮に月々床暖房を普段使用する家庭の2倍使ったとしても1年で約4ヶ月、計4万円/年燃料費が増えても10年で40万円。20年で80万円ですので、外断熱の工事費には及びません。
ということで、わたしの大学時代の後輩でもある施主のS氏夫妻を説得し(?)「寒くないよねえ?大丈夫だよねえ?」と不安そうな眼差しを横目に、
暑がりの私は「寒くない、寒くない。大丈夫だよ。躯体もあったまるから。」と決断をしたのです。
さて、住み始めて半年。
夏を快適に過ごしたこの家でようやく冬を迎え、S氏夫妻はどうだったのでしょうか?
久しぶりに電話がかかって来たのは12月。「信ちゃ〜ん。寒いよう・・・。」
S氏はそう言えば学生時代も寒がりだった。バイクも寒くて乗らなくなってたしなあ〜・・などと思いつつ、どれどれ、さっそく伺ってみました。
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玄関は白大理石貼りのこの家、出迎えたS氏はなんと裸足!ではないですか。(そりゃ寒いかもなあ。。。。)
床暖房付けてる?タイマー設定してる?と言う質問に対して、どうやら節約のためあまり長時間は付けていないようでした。それは点火時間を長くして改善してもらうとして、その他にも原因がありそうです。
外から入った私は全く寒さを感じなかったのですが、3mもあるでかいテーブルでお茶を頂いている間、話しを聞いて大体理由がわかって来ました。
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実は、壁の断熱がないとか、床が冷たいとかそう言う問題ではなく、吹き抜けの窓ガラスが原因でした。ペアガラスと言ってもさすがに幅3.6m高さ4mのガラス面はいわゆる8帖サイズの窓面積。しかもリビングの角にあるため、そこから冷やされた空気が降りて来る、いわゆるコールドドラフトが原因だったのです。しかもカーテンではなくブラインドですので、断熱効果が全くないのです。
さてこれからが問題。どうやって遮断するかですが・・
・障子のようなものを取付けるのは? → 見た目の問題で付けたくない。うーん。
・では、窓にカーテンをかける?→ダサイ。うーん。
・では、窓下にラジエターのようなものを置く? → 一番安いからそうしよう。
来年はそこにガスファンヒーターを置こうか?
などなど、話しは続き、思案してるうちに今年は暖冬。あまり冷えなかったため見送り。この件、今年も継続して考える事になりました。
RC打ち放しの素材感と凛とした表情が好きでこれを選んだのですから、
それ自体は「寒い」と言いつつも喜んでいるし、1階の土間で日曜大工に勤しみ、棚などを作って住んでる施主は楽しそうだし、コンクリートの工事の精度の良さで、建築がシャッキとしているのは専門家好みで好きなのですが、断熱なしというのは我が事務所でも稀なケース。
後輩でもあり建築学科大学院卒の施主にしか提案できないケースですね。
ともあれ、この家にとって地球温暖化はありがたい事なのかもしれません。
一方、「春日の家」の施主であるOさんからは逆のコメントが届きました。
「すごいねえ、、、外断熱。全く温度変化がないから、ほとんど暖房付けないで済んでる。床暖房つけると暑い!くらい。家の中で鍋やっても結露しないんだよ。。。。外断熱+室内漆喰にしてよかったあ!」
どちらのほうが快適か?
私は対費用効果で考えるとどちらも同じだと思っています。
どちらも「何にお金をかけるか?」ですよね。
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居間側の和室 |
問題の大窓 |
階段手摺りにはかわいい飾りがくっついてました |