今年から日本建築家協会(JIA)という建築家の職能を社会に知らしめる団体の会員になった。。。
6月には新人入会者の展覧会として「模型の力」と題した展覧会を行うため、先日夜に集まって議論。
近い将来の街の表情を設計していくであろう若手建築家が多数集まった。
「建築家の職能を社会に知らしめる」のは本当に大変なことで、建築に真剣にたずさわる設計者の社会的地位は本当に低く、
努力すればするほど儲かるのではなく、収入が減り、夜中までの仕事が続き、休みはなく、疲労がたまる構造になっている。
テレビやドラマでは建築家は相当かっこ良い職業とされ、きれいなオフィスで日中はミーティング、夜はバーで一杯〜・・なんて姿で描かれているのだが、
現実とは相当ギャップがある。
毎年建築学科に入学してくる大学生は「かっこいい建築家」に憧れて入学するものの、だんだん大変なことがわかってきて次第に辞めていく。
私は辛さよりも設計の面白さに魅入られてしまったので今までやって来れたのだろうが、
若くて有能な人材が建築設計の道に進まなくなるのは大問題である。
なぜこんなことになっているのだろうか?
そもそも、弁護士/医師/建築士の国家三大資格は、そうとうな価値をもって与えられた権限であったし、
職能としての日々の努力や高度な技能、あるいは専門的な知識によって与えられた権限であったため、
その価値と特権を維持するために、弁護士会/医師会/建築士会なるものは、昔から存在していた。
弁護士会などは、報酬額の設定をみずからきちんと決め、それが未だに続き、ダンピングを自ら行う馬鹿はいなかったため、
現在でも30分5千円という相談料などが明示されている。
しかしながら建築界は、かなりの馬鹿だった。
当時からあった、設計および施工の一体会社である現在のゼネコンのスタイルは、総合建設業と自らを呼び、
建設の巨大業務を受けるさいの営業手段として、「設計料はサービス」として初め、自らダンピングを始めてしまったため、
その言葉が現代まで続いて一人歩きして「設計料はサービスします」となって現在に至る。
建設業者にとっては巨額の工事費からすれば、数%の設計料なんて誤差みたいなものだろう。
経費率25%を目指す建設業は、そもそもそう言った感覚で設計という行為とその価値を地に陥れた。
つい最近でも某警察署の設計業務が、入札により「設計料予定額4000万」というところを、なんと!8000円で入札した馬鹿がいる。
それも名の通った有名な組織設計事務所である。こんなことをやっているから、笑われるのである。
でも、なんで?8000円で出来るの?
若いアルバイトの日当の1.4倍程度の費用で、何百枚の図面を書ける?、構造計算の費用は?模型の検討は?打合わせのお茶は?
まったくナンセンス。そこまで陥れないと、仕事が取れない?その他で回収するの?
ともかく、話しにならな事が現実に起こっている!
そんな仕事のやり方、自分の子供に自慢できないよなあ〜。
そんな空気のなかでJIAという職能団体はどうしていくか・・・が私たちに課せられた課題である。
いかんせん、普段は小さな住宅設計を生業としている身では、
こんな話は、ハリケーンに呑み込まれた葉っぱと自分の姿が重なり、気が重い。